06/10/05更新

“おまけ”で駆け引きする「ザッツ・ノット・オール」

「ザッツ・ノット・オール」もギブ・アンド・テイクの心理を利用したテクニック。ザッツ・ノット・オールというのは、直訳すれば「それだけじゃないよ」という意味で、要するに、“おまけ”を駆け引きの材料にするやり方。

つまり、おまけをつけることによって「お得感」を出すわけです。「これを買ってくれるなら、あれもつけるよ」という日本の商売でよく見る、いわゆる“抱き合わせ販売”というヤツは、まさにこのザッツ・ノット・オールです。

給与交渉でこのテクニックを使うなら、例えば「給与を上げてくれるなら、月10時間までは残業申請しませんよ」とか「外資系企業に営業をかけるために英会話学校に通いたいので、給与を上げてほしい」といった形になります。つまりは、要求を飲んでもらう代わりに、何か追加で相手(=会社)にメリットをもたらすことをアピールするのです。

男は黙って、「サイレント・ストラテジー」

ここまでお話したテクニックを駆使しても相手がまったく乗ってこないという場合には、逆に「何もしゃべらない」のが手となります。

これは「沈黙の戦術(サイレント・ストラテジー)」といって、立派な心理学的テクニックなんです。そして、実はこれが一番スゴ味がある。考えてみてください、交渉の場で相手が何もしゃべらないで黙っていたら、ものすごいプレッシャーがかかりますよね。

沈黙の戦術をよく使っているのが、ロシアのプーチン大統領です。プーチン大統領は、外国の首相などとの交渉の場面で、わざと相槌を打たないんですよ。相手が一生懸命しゃべっているのを、ただじっーと見つめているだけ。

これは間違いなく相手にとってはプレッシャーになります。プーチン大統領は、ロシアの首脳の中では身長が低い。身長が低い人というのは、それだけで威圧されやすいんです。だからプーチン大統領は、沈黙の戦術を使うことによって、自分の実力を水増ししているわけです。

給与交渉の場で、「これが君の査定の結果だから」と査定表を渡した後、何もしゃべらずにじっとそれを見つめられたら、上司としては怖いじゃないですか。「ヤバい、怒ってんのかな?少し上げてやろうか」という気持ちになることは十分にありえます。

ちなみに、沈黙の戦術が有効なのは、こちらに「手持ちのカードがない」ときです。「給与を上げてくれ」と言えるだけのアピールポイントがあるのなら、普通にそれを主張すればいい。ないのであれば、沈黙の戦術を使って相手が「上げる」と言うのをじっと待つ。

このとき、文字通り「何もしゃべらない」のがポイントです。何も言わずに、背筋をピンと伸ばして、じーっと相手を見るのです、5分でも10分でも。これをやられたら、普通の神経の人であればかなりの確率で折れるはずです。

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