05/10/06更新

普段から報告を欠かさない

人生も会社も、単年だけで生きているわけじゃない。短期間での一発勝負みたいな世界で生きたいと思うなら、100%コミッションの仕事を選べばいい。でも、そういう仕事に就く人にはめったに出会わない。たとえ金融のトレーダーといえども、基本給はもらっているからね。

なぜサラリーマンをやっているのかといえば、安定した生活を送りたいからだと思う。でなければ、独立すればいいだけの話。ドカーンと上がることもなければヘコミも少ない。そこで、“狼少年”にならないためには、上司への報告をちゃんとやるしかない。「上司・会社の了解の下に仕事をやっていますよ、だから正当に評価してくださいね」、と言わなくてはならない。

こういう報告を普段からやらずに、年1回の年俸交渉の時だけ、「実は、年初に決めた目標をこれだけ達成したんですよ」とアピールしたって、前にも話したように、交渉の時にはもうだいたい結果は決まっていることが多いから、上司は「今さら何言ってももう遅い」と思われて終わりですよ。

新規ビジネスは呉越同舟

どうしてこういうことが起きるかというと、「上司なら、自分のやっていることを知っていて当然」と考えてしまうから。でも、どんなに親しい間柄でも、誤解招くケースはあるし、ハッキリ言葉で説明してもらわないと分からないものなんです。これって、夫婦関係でも同じじゃないですか。お互い「察する」ことはできますよ。でも、「察する」イコール「正しく理解する」ことではない。理解しているつもりでも、違う意味にとらえていたり……。こういう事態を避けるためには、絶えず言い続けなくちゃいけない。これこそ、本当のコミュニケーションなんです。

特に新規事業は呉越同舟でなくてはダメ。つまり、同じボートに必ず乗っていなくてはならない。同じ会社で隣の席に座っていても、考え方の違いや心境の変化が原因で心が離れちゃうこともある。

だから、常に「同じボートに乗っている」ことを確認し、擦り合わせも必要になってくる。これをやらないと、後で上司に「お前が勝手にやったんじゃないか」とか「俺は知らなかった」とか言われることになる。

ただ、アピールも大事だけど、タイミングも考えないとね。その話は、次回にしようか。

年俸交渉の際、常に良い数字をそろえられるわけではない。こうした場合、中長期的な取り組みや仕掛かり中のプロジェクトのプロジェクトについてアピールするのも1つの方法。ただし、年俸交渉の場でいきなり言っても効果は薄く、日頃から上司への報告を継続的に行っておく必要があるということだ。

アップダウンサイジング・ジャパン
代表 梅森浩一

日系企業と外資系企業2社を経て、35歳でケミカルバンク東京支店の人事部長に就任。以後、2社の外資系金融機関の人事部長を歴任。現在は「アップダウンサイジング・ジャパン」(URL:www.updownsizing.com) を主宰し、企業コンサルティング、講演活動などを行う。著書多数。最新刊に、『はぐらかしの技術』(日本経済新聞社)と『「採用したい!」と言わせる技術』(大和書房)がある

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