06/01/06更新
年俸交渉は「感情のしこり」が残らないように
転職時点での年収にあまり固執すると、「金に細かい奴だな」という悪い印象を持たれてしまうリスクもある。とはいえ、わだかまりを持って入社するのは会社にとってもマイナス。後になって「やっぱりあの時言っておけば良かった」と思うくらいなら、あらかじめ相談しておいたほうがいいよね。前にも言ったように、自分が譲れないラインや言わなかったら悔いが残るようなことは、絶対に言わなきゃだめなんですよ。
そこで、おのずとしゃべり方やアプローチの仕方が大切になってくるわけです。一言でいえば、「婉曲的」にやるしかない。例えば今の年収が700万円で、転職して800万円欲しいとしたら、「どういう働きをしたら800万円もらえるんですか」と問いかければいい。そして、「私のスキルレベルは、今お聞きしたものに近く、その目標を達成できると感じているのですが、いかが思われますか?」と、きちんと自分の実績を説明しながら聞いてみる。
こういう確認的な要望。要するに「800万円の仕事を自分はやっているんだから、800万円もらってもいいですよね?」という感じのアプローチであれば、お互い納得できるし、感情のしこりは残りません。
一番嫌われるのは、最初に「僕はお金はどうでもいいです。この会社で働きたいんです」と言っておきながら、内定が出た後に、「実は借金があるので、もうちょっと何とかなりませんか」というタイプ。会社としては、「そんなの最初から分かっていることじゃん!」ということになるよね、そりゃ、何としても入社したいからそういうこと言ったんだろうけど、そんな心構えで入社しても長続きしない。
それは当たり前だよね、生活できないわけだから。給与交渉する際には、入社してからも交渉相手といい関係でなくてはならないということを忘れないようにしないとね。
“クビキラー”流人材紹介会社の使い方
自分では言いにくいことを代わりに言ってもらうために、サーチ会社(人材紹介会社)を使う手もあります。サーチ会社は、高い年収で転職が決まればそれだけ高い報酬をもらえることになるわけだから、転職する人とはお互い「Win・Win」の関係といえる。
ただ、サーチ会社の人を使って年収が上がるかどうかはケースバイケースですね。1つ言えるのは、間に人を介すことによって、会社側と何かトラぶった時に、「私の真意は違います」と言い訳ができること。
「ヘッドハンターの○○さんが僕の真意を間違ってお伝えしたみたいですが、僕としては御社にご提案頂いた金額でOKです。ただ、子供が生まれるので、もう少し広い部屋を借りられれば……と言ったのを、ヘッドハンターの○○さんが気を利かせて御社に伝えてくれたんだと思います」とかね。
そうやって全部サーチ会社に“責任転嫁”して、うまく年収アップを勝ち取れたら儲けものでしょ(笑)。プロのヘッドハンターというのは、企業と転職者双方の利益を考えて行動しているはずだから、こういう信頼できるヘッドハンターに巡り合うというのは大事だよね。もし巡り合えたら、その人にはトコトン給与交渉を任せていいと思います。
自分の価値はいくらか。自分自身で把握できる人は多くはないだろう。また、たとえ同じ人間であったとしても、企業によって、価値には差が出る。だが、自分の価値を計る確固たるモノサシを持つことができれば、交渉の材料となることは確かだ。中々自分のモノサシをもてないならば、人材紹介会社やヘッドハンターを使うのも手だ。
アップダウンサイジング・ジャパン
代表 梅森浩一
日系企業と外資系企業2社を経て、35歳でケミカルバンク東京支店の人事部長に就任。以後、2社の外資系金融機関の人事部長を歴任。現在は「アップダウンサイジング・ジャパン」(URL:www.updownsizing.com) を主宰し、企業コンサルティング、講演活動などを行う。著書多数。最新刊に、『はぐらかしの技術』(日本経済新聞社)と『「採用したい!」と言わせる技術』(大和書房)がある
[連載一覧]
- 年収アップのための「給与交渉術」(1) /1000人のクビを切った男・梅森浩一が伝授!
- 年収アップのための「給与交渉術」(2) /1000人のクビを切った男・梅森浩一に学べ!
- 年収アップのための「給与交渉術」(3) /1000人のクビを切った男・梅森浩一が伝授!
- 年収アップのための「給与交渉術」(4) /クビキラー・梅森浩一の極秘ネタ「転職編」スタート!
- 年収アップのための「給与交渉術」(6) /年収アップを実現する面接3大ルール
- 年収アップのための「給与交渉術」Part 2(1) /ヤクルトスワローズ・古田敦也の“年俸交渉人”が教える
- 年収アップのための「給与交渉術」Part 2(2) /サッカー日本代表・宮本選手の“年俸交渉人”が教える
- 年収アップのための「給与交渉術」Part 2(3) /日本初のプロスポーツ選手代理人が極意を伝授
- 年収アップのための「給与交渉術」Part3 (1) /交渉テクニックより人間関係!?
- 年収アップのための「給与交渉術」Part3 (2) /人間心理に即した、交渉テクニックを実践しよう!
- 年収アップのための「給与交渉術」Part3 (3) /タフな人事や上司を打ち負かす“必勝交渉術”!
- 年収アップのための「給与交渉術」Part3 (4) /ひとモメしてからが“本当の交渉”の始まり
- 年収アップのための「給与交渉術」Part3 (5) /デキる上司の部下操作テクニックとは?
- 年収アップのための「給与交渉術」Part3 (6) /「人畜無害」と「二股部下」はマイナス査定の対象!
- 年収アップのための「給与交渉術」Part4 (1) /国際弁護士・八代英輝が“エセ交渉術”の横行を裁く!
- 年収アップのための「給与交渉術」Part4 (2) /アメリカ流交渉術の意外な“長所”とは?
- 年収アップのための「給与交渉術」Part4 (3) /譲歩せずに成果を勝ち取る“交渉テクニック”とは?
- 年収アップのための「給与交渉術」Part4 (4) /“怒るフリ”から謝罪法”まで交渉テクを一挙公開!
- 年収アップのための「給与交渉術」Part4 (5) /最終回に最強の交渉相手。最後まで目が離せない!
[おすすめ記事]
- 人材コンサルタントの告白(3) /“ノルマ最優先”のコンサルタントは要注意ですよ
- 人材コンサルタントの告白(2) /売り手市場といえども、個性に合った仕事を探します
- 転職攻略マニュアル Part1<応募編> /IT業界で働くアナタのための<応募編>
- 人事マネジャーの告白 Part2(1)<EC企業編> /強烈な「学習欲」と「開発欲」をアピールしよう!
- 転職攻略マニュアル Part3<入退社編> /IT業界で働くアナタのための<入退社編>
[おすすめサービス]


