06/06/01更新

勝ち取るのではなく“折り合い”をつける

近鉄時代の中村紀洋選手のケースを挙げると、彼にどうしてもチームに残ってもらいたいという必死の思いがあり、新聞報道では5億円というものすごい数字が出てきました。その後近鉄というチーム自体が身売りすることになり、当時の球団社長から給与が高すぎるということを批判されました。

中村選手が持っているエンタテインメント性に対して経営者が尊敬の念を持てないというのは悲しいことですが、5億円という中村選手にとっての満額回答が、ある種のヤッカミを生んでしまったのも事実だと思います。

これは、スター選手にまつわる宿命とでも言いましょうか、清原選手などもそのカリスマ性ゆえに、球団側から「扱いにくい」選手と思われていたのかもしれません。彼のようなスター選手は、成績だけでなく「エンタテインメント要素」抜きに移籍することはまずできませんから。

スポーツ選手の給与交渉もサラリーマンの給与交渉も、たとえ決裂したとしても裁判にはできません。なぜなら、これは法律の問題というより、経営の問題ですから。ただ、プロ野球選手の場合、コミッショナーによる調停制度はありますが、選手には不利な制度です。お互いがお互いを必要としているのですから。交渉の際には“慈恵の念”が必要だと思います。「勝ち取る」というより、「折り合う」という感覚が重要なのではないでしょうか。

アップダウンサイジング・ジャパン
代表 梅森浩一

日系企業と外資系企業2社を経て、35歳でケミカルバンク東京支店の人事部長に就任。以後、2社の外資系金融機関の人事部長を歴任。現在は「アップダウンサイジング・ジャパン」(URL:www.updownsizing.com) を主宰し、企業コンサルティング、講演活動などを行う。著書多数。最新刊に、『はぐらかしの技術』(日本経済新聞社)と『「採用したい!」と言わせる技術』(大和書房)がある

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