05/11/08更新

コンサルタントに必要な能力には、「コミュニケーション」「ロジカル・シンキング」などさまざまな資質があると語られている。しかし、机上の話で腑に落ちてこないものも多い。では、本当に必要な資質とは何か。業界屈指のトップコンサルタント・三谷宏治氏は、思考の「二面性」に加え、「思い込み」と「コミュニケーション」のバランスがキーワードだと説明する。採用時のポイントなどを含め、実力を備えたコンサルタントになる方法を学ぼう

ハイキャリアを目指す人の中で“コンサルタント”と呼ばれる職種を目指す人は多い。中でも、大きな報酬を得ることができる代わりに、非常に高いレベルでの職務内容を問われるのが「経営コンサルタント」である。クライアントの命運をかけたプロジェクトもあり、受けるプレッシャーは大きい。前回の記事で「ON」と「OFF」について語ってもらったアクセンチュアの戦略グループを統括するエグゼクティブ・パートナー 三谷宏治氏に、コンサルタントに必要な資質について語ってもらった。

コンサルタントに必要となる
「理系型」と「文系型」の二面性

よく「理系と文系のどちらが経営コンサルタントに向いているのか」という話があります。「どちらでもない」というのが、その答えです。私は理系出身ですが、大学は、論理的に物事を組み立てて、何か新しいものを生み出すための思考法を学ぶ場だったと思っています。それは、前回お話ししたSF小説を読んでいる時と一緒だったのかなと。私自身、国語はとっても好きですが、基本的にはいわゆる文系型の人間ではありません。

理系型の性行というのは、他の誰がなんと言おうと「何が論理的には正しいのか」を問い詰めることにあります。文系型の性行というのは理系とは逆で、一般の人が「何を正しいと思っているのか」を問い詰めていくことです。法律がそうだし、哲学や文学もそうかもしれない。みんなが共通に問題視しているテーマを見極め、その解答を導き出すという思考プロセスが、文系的な仕事だと思います。

コンサルタントには両方の資質、もう少し正確に言うと、「二面性」が必要です。文系的視点と理系的視点という両方の観点から、物事を追求していかなければなりません。ただ、コンサルタントはいくつものケースを同時に追いかけ、それぞれベストのソリューションを提案することが求められます。だから高いレベルで両者のバランスがとれていなければならない。だから、私は占いってあんまり好きじゃないんですよ。なぜかというと、なんでも一言で表現しようとするから。「あなたは動物にたとえると羊です」とかね(笑)。あまりに一面的な見方に思えるのです。

真のブレイクスルーにつながる
「思い込み」と「コミュニケーション」

とはいえ、バランスだけではブレイクスルーは実現できませんから、“バランス付きのブレイクスルー”が理想です。例えば理系型の若手が「こんなことを見つけました。私はこう思いますが……」といってアイデアを持ってくる。でも、それはある種のブレイクスルーではあるかもしれないが、バランスがない。実際、その人に「あなたはそう思っているかもしれないけれど、クライアントはどう思っているのか? クライアントに受け入れられるアイデアだと思うのか?」と投げかけると、回答に詰まることが多いんです。

逆に、文系型の人は、「クライアントからこんな要求がきましたので、ぜひ実現したいのですが……」と私に持ちかけてくる。でも、「あなたはそれを本当にやるべきだと思うの?」と突っ込むと、シドロモドロになってしまう。自分で最適だと思えるものを見つけたら突っ走っちゃうのが理系型だとすると、文系型の人は、周りがそう思っているものは正しいと思い込んで、「私はどちらでもいいのですが、強いて言えば賛成なので……」みたいな姿勢をとることがある。

これらはちょっと極端な例ですが、コンサルタントには、理系、文系両方の思考プロセスが必要なんです。自分が見つけたものをロジカルに顧客に説明した上で、「どうすべきか」を判断しなければいけない。“思い込み”という部分と、“お客様とコミュニケーションを図る”という部分の両方がなければ、成立しないのがコンサルティングという仕事なのです。この点はしっかりと認識してほしいところです。

「論理」と「感情」のバランスが
長く務めていくためのコツ

私自身、基本は理系人間ですけど、論理だけでやってきたのかと言われると、そうではありません。理論で動く部分と感情で動く部分があり、多面的に物事を判断するタイプだと思っています。だから、性格テストなどはとても答えにくい。

「あなたはAとB、どちらのタイプですか?」って聞かれた場合、Aを選ぶ時もあればBを選ぶ時もある。両方は選べないしね。その日その時の気分に左右されることは誰でもあるじゃないですか。時々、「三谷さんって、論理を重視する人なんですか、それとも感情を優先する人なんですか」と聞かれるけど、「論理も感情もスゴく重視する」としか答えようがない。(自慢じゃないですけど)浅田次郎さんの短編小説「鉄道員(ぽっぽや)」を読んで、途中で7回泣いたくらいですから(笑)。

実際、映画やドラマをあまり見ないようにしているんです。見たら泣きたくなるのがわかっているから。一般の人から見たら、「泣けるドラマ」と呼べないものでも、グッと来ちゃうんですよ。行き帰りの通勤電車の中で本を読んでいる時にも、「あっ、泣きそう」ということが、時々あって。そういう時は、上を向いてゴマ化しますけどね(笑)。結果的には、論理と感情がバランスよく備わっていたからこそ、コンサルティングの世界で長くやってこれたのかなと思っています。

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