06/01/17更新

学生時代は物理学を専攻し、そのまま研究者になることを目指していたが、ほんのささいなきっかけから、コンサルタントの道を選ぶことになった。当時はまだ経営戦略コンサルタントという職業の認知度もそれほど高くなかった時代だ。しかし、「真正面から議論をしかけ、タタきのめされる感覚」は、新鮮な驚きだった……。

一年期限で自分を試し
ダメなら大学に戻る!

コンサルタントという仕事は、私にとって“腰掛け”のつもりでした(笑)。私がいた理学部物理学科は95%が大学院に進み、7割くらいが博士号を目指すというところ。私自身も大学院に行くつもりでした。だから、1年間ひたすらコンサルタントの仕事に打ち込み、芽が出なかったら、大学に戻ろうと思っていたんです。

ただ、昔から「文系的」なモノの見方も好きでした。なぜ大学は理系に進んだのかというと、実験設備などが必要な理系の勉強は大学でしかできないけれども、文系の勉強は大学以外でも、独学でできると思ったからです。

大学入試でも、実は理系よりも文系の科目の方が高い点数を取れた。でも敢えて将来の選択肢を拡げるため理系を受ける。こういう選択を私は“モラトリアム最大化の戦略”と言っています。文系学部に進んだら、もう理系には絶対いけないじゃないですか? たまたま私には両方の分野を選べるベースがあり、その時、文系理系どちらに行きたいか決められなかったので、将来どちらにも動けるように、理系を選んだわけです(一浪しましたけど……)。

理系の中で物理学科を選んだのも、同じ理由です。物理というのは、理系の中でも基本の学問なので、物理学を応用することで幅広い分野への広がりがあるんですね。例えば物理化学という領域があるし、生物の筋肉はどのように動くのかなどを、物理学の視点から研究する生物物理という領域もある。工学系なら応用物理学。ただ、人気が高いので入るのが難しいのが玉にきず。

「ヒト」に魅力を感じて
コンサルティング会社に就職を決意

こういうモラトリアム状態に加えて、もともと文系の領域には興味があった。そんな時、たまたま一枚のDMを受け取ったんです。それが、経営コンサルティング会社のセミナーの案内でした。20年前ですから、学卒を公募する経営コンサルティング会社は数社しかなかったし、経営戦略コンサルティングという仕事自体、世間に認知されていない時代でした。

でも、大前研一さんの「企業参謀」という本は読んだことがあったので、経営コンサルティングとか大前研一という名前は知っていました。「こんなに理屈をこねくり回して議論を展開していく。何か面白そうだな」と知的好奇心をくすぐられたわけです。「経営コンサルティング」というキーワードが、心に刺さったというところでしょうか。

それで、大学の講義が終わってからセミナー会場であった大手町の経団連会館に足を運びました。シャツにジーンズの格好で会場に入ったら、リクルートスーツの学生が300人くらいいたんですね。「ヤバイ……」。でも当時は私みたいな格好の(無知な)人が1割くらいはいましたよ(笑)。この比率は年々下がっていき、5~6年でゼロになりましたけどね。

セミナーに参加して、「これは確かに面白い」と思いました。といっても、仕事の内容をきちんと理解していたわけじゃなくて、そこに出てきた人が面白いと感じたんです。セミナー後の立食パーティで、いろいろな人達と話をする機会があったんですが、とにかく話の内容は刺激的だし、話すこと自体がとても楽しかった。

自分が真正面から議論してタタきのめされる感覚というのは、それまであまり味わったことがなかったし、会う人会う人との会話が新鮮でした。「ああ、こんな凄い人たちが集まっているんだ」と思って、グラっと来たわけです。

面白いことに早くチャレンジするために
コンサルティング会社を選択

コンサルティング会社以外、普通に文系職種に就くことは考えていなかった。普通に文系職種で就職してビジネスの世界に入って、下積みを5年か10年やってから、その後にようやくおもしろい仕事ができるというパターンはイヤでした。

だって、下積みをいろいろやって、現場も回って、ようやく面白い仕事にありつけたと思ったら「やっぱりこの仕事は自分には向いてない」となっても困るじゃないですか。5年も10年も経ってから「やっぱり自分には科学者の方が向いている」と思っても、もう遅すぎる。科学者の道には戻れない。科学者が一番輝いている時期は、20代後半から30代までですからね。

だから、文系の人がやっているビジネスをのぞきたい気持ちはあったんですが、ごく短期間で「文系職種と自分との適性」や「文系職種は仕事が面白いかどうか」を見極めたいと思っていました。そういう点で、経営コンサルティングの仕事は、若いうちから経営のトップクラスと対峙したり、ビジネス全体を考えたり、面白そうなことに早くチャレンジできる環境だと思ったのです。

当時は、ベンチャー企業というものも多くなかったですしね。普通の会社で10年後、いや、3~4年後に経営企画に移っても、年齢的に遅すぎると感じていました。それが、この仕事を選んだ一番大きな理由です。

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