07/04/19更新

前回、アメリカでの経験を踏まえて「アメリカ人=交渉上手」という偏見を否定した八代氏だが、一方でアメリカ流の交渉には見習うべきところも大いにあると言う。交渉が暗礁に乗り上げたときの切り抜け方、そして根拠ありきの理詰めのコミュニケーション術。いずれも日本人が苦手なスキルだが、今回はその習得方法をレクチャーする。好評「国際弁護士シリーズ」2回目スタート!

ユーモアのセンスが場の空気を変える

八代英輝
(やしろ・ひでき)
元裁判官、国際弁護士

慶応義塾大学法学部卒業。司法試験に合格後、裁判官に任官。1997年に裁判官を退官し、東京弁護士会に弁護士登録。2001年、米国コロンビア大学ロースクールに留学し修士課程修了後、米国司法試験(NY州)に合格。著作権法や知的財産権法に精通した数少ない弁護士として各方面で活躍し、大学院において教鞭もとる

アメリカ流の交渉を盲目的に賛美するべきではないとお話しましたが、当然見習うべきところもあります。どんなにタフな交渉の中でも、「笑い」の要素を盛り込むというのがその1つです。行き詰まりかけた交渉も、ユーモアの効いたセリフでガラッと局面が変わったり、別の切り口が見つかったりします。

僕が働いていたアメリカの弁護士事務所の採用面接での話なのですが、どうしても欲しい弁護士がいたんです。ただ、この人はエグゼクティブな人材だったので、給与のリクエストがこちらの出せる金額よりかなり高かった。それで話が行き詰まってしまい、しばらく部屋に重苦しい空気が流れていたんですね。そこにいたメンバーはひたすらコーヒーを飲んで、うつむき加減で黙っていました。

こういう状況で、その弁護士がおもむろに「ここにスターバックスをオープンしたら儲かるんじゃない?」と言ったんです。それを聞いた皆が笑って、閉そく気味だった雰囲気が一気に打ち解け、「お金以外にこちらが示せるようなもので、何かリクエストはありませんか?」という前向きな話になりました。

ただ、ユーモアも状況を踏まえた適度なものだったらよいのですが、度がすぎると最悪です。特に若いうちはあまり多用しない方がいいでしょう。軽薄だと思われがちです。例えば何かミスをして取引先で謝罪するときにユーモアをひけらかしたりすると、「状況に応じた行動ができないヤツだ!」と周囲を憤慨させてしまうかもしれません。

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