05/09/15更新

実力主義の給与制度をとる企業が多くなってきた。3カ月ごとに査定の見直しをする企業もあり、給与は自分の価値を如実に表すものとなったといえる。そこで、あなたの価値を向上させる給与交渉術を各業界の専門家を招きレクチャー。新連載開始となる今回は「1000人のクビを切った男」として有名な企業人事のプロ・梅森浩一氏が登場! 3回にわたり人事心理を踏まえての交渉術を伝授する

成果主義の名の下、今やビジネスマンの年収は、上司とのインタビューで決まる時代になった。そこでは「上司はきっと自分の仕事ぶりを見ていてくれるはずだ」と考えるのは甘すぎる。言うべきことは明確、かつロジカルに伝えなければ、年収アップを勝ち取ることはままならない。

とはいえ、「交渉事はあまり得意ではない」というのが多くの日本人にとっての悩みでもある。そこで、35歳の若さで外資系企業の人事部長を歴任し、「人事のプロ中のプロ」として「1000人のクビを切った男」と称される梅森浩一氏に、年収アップを勝ち取る交渉術について語ってもらった。

初回となる今回は、上司と交渉する前に最低限知っておかなければならない心構えや、対応の仕方について学んでいこう。

交渉事に慣れていないのは上司もまったく同じ

つい最近まで、上司とのインタビューで給与を上げてもらうなんて考える人は少なかった。だって、給与の額はほとんどの会社で年齢や役職によって決まってたからね。

だから、ビジネスマンは「時代が変わった」ことを認識しなくてはいけない。だけど、実は給与を決める権限を持っている上司自身、交渉に慣れていないのが実態なんですよ。ほとんどの上司は、ちょっと前まで年功序列の世界で生きてきたわけですから。つまり、年俸交渉とかカッコ良く言っても何のことはない、「慣れていない者同士がやっているんだ」ということをまず考えておかないと。上手な駆け引きを考える前に、「相手も交渉に慣れていない人」ということを基本的に認識していないとダメだよね。

自分の評価は自分ではなく他人が決めるもの

その上で、評価は「他人評価がすべて」であることを頭にタタき込んでおくべき。自分の目線じゃなくて、他人の目線ですべてが決まる。評価なんて、他人にされてナンボなんですよ。これは、一国の宰相からホームレスまで世の中すべての人間に共通すること。これを読んでいる読者の中にも1人たりとも例外はいません。

もちろん、「自分はこれだけやった」という絶対的な尺度があったとすれば、他人に言えるわけですが、“絶対的”なんてこの世に存在しますか? 残念ながら、現実社会に絶対的なものはないということを、ビジネスマンは認識しないといけない。自分中心に評価を考えても何も生まないし、何の意味もない。同僚や女房・恋人は理解してくれるかもしれないよ、「あなたは良く頑張ったわね」と。でも、実際に給与が下がっていたら、虚しいだけでしょう。

これを読んでいる人は「そんな他人の顔色ばかり気にする世の中は間違っている」と感じるかもしれない。その気持ちはよくわかります。でも、“プロのビジネスマン”がそれを言ったらおしまいだね。ビジネスマンの世界って、プロの世界になりつつあるでしょう。「これだけの成果を挙げたのだから、これだけの給与がほしい!」と、社員が平気で経営サイドに求める時代になってきているのだから。

だから、たとえ悲しくても、悔しくても、他人に評価されなかったという現実はそのまま受け入れなくてはいけない。アマチュア同士が傷口をなめあっても、何も生まれない。プロのビジネスマンなら、もし上司の評価が自分の考えよりも低かったら、ニコっと笑って心で泣いて、「もっと頑張ります」と言うしかないよね。

「給与をもらいすぎ」というのはありえない話

反対に、もし自分の期待以上に上司の評価が良くて、年収がドーンと上がったらどうすればいいか……。 こんな話はあり得ません。僕は、人事部長として外資系金融機関にいました。その会社には何億円もの売上げを達成して、億単位でボーナスをもらう人がゴロゴロいたのです。いわば、サラリーマンの最高峰に位置する人たちです。

こういうハンパじゃない金額が行き来する会社においてさえ、今まで一度たりとも「給与をもらいすぎました」と言った人に出会ったことがないですね。査定をする上司だって、別に自分の会社じゃないわけだから、「こんなにもらってありがとう」なんて言われる筋合いがない(笑)。

もし、自分が手抜きをして要領よくやっていたと感じていても、“余計な遠慮”はしないこと。プロのビジネスマンなら、上司に対して「こんなにもらっていいのですか」なんて口が裂けても言うべきではないですね。

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