05/08/18更新

若手SE、ビジネスマンの“キャリアゴール”として人気の高いプロジェクトマネジャー。しかし、素晴らしいキャリアを持ち、プロマネのポジションが手の届くところまで来ているにもかかわらず、プロマネ就任をためらう人もいる。その理由はなぜか。プロマネの周囲では一体何が起きているのか。ヤリ手のITコンサルタントがホンネで語った……

(取材・文 / 中村京介)

プロマネが“花形職種”から転落?

プロジェクトマネジャー(プロマネ)と言えば、ITエンジニアにとっては憧れのポジションの1つだ。しかし、最近はプロマネに対する見方も、少しずつ変わってきているようだ。

「プロマネという仕事は、昔は間違いなく花形でしたね。何十人月、何百人月というプロジェクトを背負って立つ。その人がいなかったらプロジェクトが回らなくなる、代役のいない特別な存在でした」

プロマネへの憧れをそう語るのは、大手SIer、パッケージベンダなどを経て、現在メーカー系のシステム会社でITコンサルタントを務める山崎慎一氏(仮名・35歳)。ここ数年、山崎氏が抱いていたプロマネへの憧れは色あせつつある。

「プロマネをやりたいと思った時期はありますし、なれるのだったらなりたいという気持ちはあります。ただ、今はプロマネの置かれた環境が相当に厳しくなってきていることは事実ですね」

優秀なプロマネには求人が殺到中

ある人材コンサルタントの話では、「優秀なプロマネに対する需要はウナギ上りで、有効求人倍率は8倍。1人の求職者に対し、8社の企業がオファーを出す状況」だという。近年、プロマネ不足が叫ばれているが、山崎氏もプロマネの人材不足を肌で感じている。

「その人がいれば、プロジェクトが静まる“火消し役”的な存在です。何か問題が起きても、どんなにメンバーが残業してボロボロになっていても、どんなに経費を節約しても、その人がプロマネをやっている限り、必ずカットオーバーできる。私が大学を卒業して最初に就職したSIerには、キャリアモデルとなるような優秀なプロマネがたくさんいました。その時のイメージがある分、ERPや会計システム導入などのプロジェクトになってからは、プロマネの質の低さを強く感じています」

当時仕えていたプロマネの年齢は30代前半。その大手SIerでは人月計算をする際、一日を夜中の12時まででカウントしていたという激務の職場だった。それだけに、新卒入社後、わずか4~5年目で要件定義を経験、ジョブリーダー、プロジェクトリーダークラスは20代で任される。密度が濃い仕事をしている分、スキルアップも早く、必然的にプロマネも他社に比べると、かなり若い年齢で経験できる。

「30代前半で完全にプロジェクトを回していました。優秀なプロマネにつけば、『この人についていけば、どんなプロジェクトもうまくいく』と思えるので、徹夜で肉体的に疲労がたまっていても、不思議と精神的には苦しくなかったですね」

プロジェクトの関係者を説得する能力

では、優秀なプロマネとはどんな人材なのか。多くの優秀なプロマネを見てきた山崎氏が最も重視するのは、ネゴシエーション能力だ。

「極端な話、プロマネは別にコンピュータができなくてもいい。それよりも、顧客の心に深く入り込み、ハード・ネゴシエイトできる能力の方が重要です。プロジェクトを回していると、顧客は無理難題を言ってくるし、現場でもいろいろな問題が生じる。こうした問題を解決するには、コミュニケーションが必要です。顧客や現場のエンジニアに加え、プロジェクトを見ている役員クラスも説得できるネゴシエーション力。それが絶対に必要な能力だと思いますね」

山崎氏がかつて仕事をしたプロマネの中でも、特に印象に残っている人がいる。まさに、“説得的ネゴシエーション力”を持った人だった。

「そのプロマネとは、何か問題が起きるたびに十分にコミュニケーションをとっていました。とにかく、お互い自分の意見を徹底的に言い合っていたので、周囲からは、『お前、プロマネとの人間関係は大丈夫なのか』と心配されたこともあるほどです(笑)。でも、周囲の目とは裏腹に、実際はいい関係でしたね。お互いに納得できるまで話し合うことができたので、次の日は新たな気持ちで仕事に打ち込めました」

このプロジェクトのピーク時は、朝9時出社で夜中の2時すぎまで働き、3時に夜食をとり、朝5時ころに帰宅して少しだけ寝て、シャワーを浴びてまた9時出社というサイクルだった。かなりの激務だ。残業は月200時間を超えていた。しかし、それでもあまり苦しいとは思わなかったという。

「全然寝ていないのに、プロジェクト中は不思議と病気にもならなかった。ところが、カットオーバーした途端、風邪を引いたんですよ。優秀なプロマネにはメンバーから病の元を奪い去るほど、強烈なリーダーシップがあるものなんです」

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