05/09/08更新

前回の記事で「プロジェクトマネジャーという仕事自体の魅力が減ってきている」と指摘した山崎慎一氏(仮名・35歳)。エンジニアやビジネスマンにとって憧れだったはずのプロマネの世界に一体何が起こっているというのか……

(取材・文 / 中村京介)

プロマネの悲惨な実態に幻滅する若手が急増中!

「私が若いときに比べると、プロジェクトが、技術、現場の人員、スケジュールすべての面で厳しくなっています。特にクライアントの求める納期は相当短くなり、かつ高いアウトプットを求められている。さらに予算もかなり絞られているという、まさに“四面楚歌”の状況。この環境では、プロジェクトを成功させること自体、非常に難しくなっているんです。そこで苦しむプロマネの姿を見ていれば、『自分はやりたくない』と思う人が増えても不思議ではありません」

かつて山崎氏が一緒に働き、憧れを持った優秀なプロマネ。その彼らをもってしても、現在の環境下では、プロジェクトを成功に持っていくのに、かなり苦労するはずだ。こうなってくると、プロマネの能力うんぬんを超えた、もっと根本の部分に、何か大きな問題が横たわっているのではないか……と思えてくる。

「ハッキリ言えば、案件を取りにいく時点で間違っている。予算は削られているし、スケジュールも厳しい。クライアントに『十分な開発資金がありませんのでこの予算内でやってください』と言われ、『ハイ分かりました』と2つ返事で“悪条件”を飲んでしまっている。これが諸悪の根源ですよ」

「予算が足りない」とボヤくだけでメンバーへの説明責任は皆無……

現在、山崎氏が関わっている会計のプロジェクト予算は約2億円。しかし、経験則上、その会計システムをその予算でできるはずはなく、どう考えても半額以下に抑えられていると痛感している。

「この予算ではプロジェクトを条件内で成功に導くことは難しい」と直属のプロマネに説明しても、「それでもやらなくちゃいけないんだ!」とゴリ押しされるだけ。メンバーがロジカルに納得できる説明は用意されていない。プロマネ自身がメンバーへの説明責任を果たしてないのだ。うまくプロジェクトがいかないと分かっていてもやらなければならないつらさを日々味わっている。

「プロマネは私より10歳以上も年上です。予算もスケジュールもあまりにも厳しいので、プロジェクトがスタートしてからは、『こんなやり方ではメンバーが倒れるから、人を増やすなり、やり方を検討してくれ』とずっと言い続けてきました。そうやって、ずっと突き詰めていったら、最後には『そもそも予算が足りないんだよな……』とこぼしていました。そのボヤキに“プロマネ問題”が集約されているのではないでしょうか」

「トラブルプロジェクト」増加の背景はココにある

なぜ、このような採算割れのプロジェクトを引き受けてしまうのか。これは、IT業界における「構造的な問題」だと山崎氏は打ち明ける。

「どの会社も同じだと思いますが。今いる会社でも年間でかなりの予算が積まれているんですよ。この予算達成のために、かなり無理して受注しているとしか思えません。私が上の立場に立ったら、この予算では絶対に受注しにいきませんよ。聞いた話ですが、2億で取っても2億赤字が出る。あるいは、ディスカウントした分だけ赤字になる。プロジェクト自体、無理して受注しているのでは?と思うケースが最近増えていますよ、どこの会社も。うまく受注している人も、妥当な金額ではないことを承知しているんじゃないですかね。営業も現場のエンジニアとはもっと情報交換して、現場の人間が納得する予算とスケジュールを把握した上で仕事を取りにいくべきです。じゃないと、プロジェクトは最後に破たんするに決まっていますから」

このような状況で仕事を受注していれば、当然のごとく、トラブルは増えてくる。

「値段を安くして、スケジュールを短くして、無理して仕事を取りにいく会社はほぼ間違いなくトラブルプロジェクトになっていますよ。トラブルのうわさが流れているプロジェクトって、絶対に無理している。名前を言っちゃうとまずいんですが、あるコンサルティング会社が無理して仕事を取ったんですよ。他社がコンペで『2年でやります』と提案したのに、その会社だけ『1年でやります』と提案して仕事を取った。でも、結局は本番稼動するまで約2年かかったと後で聞きました」

このように、無理して受注したはいいが、結局予算がかさみ、ディスカウントした分、大きな赤字がノシかかってくるケースもよく散見されるようだ。

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