05/10/11更新

今までの連載で見てきたように、現在プロマネが置かれている環境は非常に厳しいものがある。しかし、プロジェクトの失敗をすべて環境のせいにすることはできない。悪い環境とプロマネのスキル不足が重なった時、“失敗プロジェクト”は生まれるのだ……。

(取材・文 / 中村京介)

失敗の原因は情報の遮断と若手メンバーの過信

プロジェクトを成功に導くカギは、いかにトラブルを未然に、あるいは最小限に抑えることができるのかが重要になってくる。そのためには、トラブルの芽を早めに摘み取ることが必要だ。プロマネがその作業を怠った時、多くのプロジェクトは、失敗の憂き目を見る。

「私が見た失敗プロジェクトの一番の原因は、プロマネが現場の悪い情報を遮断してしまったということです。そのプロマネは、部下が悪い報告をすると、『お前たちの問題なんだから、お前たちで責任もってなんとかしろ!』という風に聞く耳をまったく持たなかったんです。良い情報なら喜んで聞くんですけどね(笑)」

その結果、現場の若手だけではなく、リーダークラスの人間までもが、プロマネに悪い報告を一切しなくなった。その後プロマネやプロジェクトの関係者が気付いた時には、もはや手に負えないトラブルだらけの状態になってしまった。そして、火に油を注ぐ格好となったのが、プロジェクトのメンバーのうち、特に若いリーダークラスの過信だ。いわば、根拠のない自信といえる。

「このプロジェクトでは、リーダークラスに若い人が多く、『自分たちはイケている。だから、このプロジェクトは絶対にうまく回る』と思っていたんです。私はその姿を見ていて『これはマズイな』と感じていました。結局、彼らは変にプライドばかり高かったので、プロジェクトが思うように進まなくなるとやる気をなくし、同時に協力会社の人達のモチベーションもどんどん下がって、パフォーマンスは落ちていく一方でした」

このプロジェクトは次第に混乱し、その後社内で人がかき集められ、さらに現場の収集がつかなくなる状況に陥った。結局、このプロジェクトで納品した成果物はクライアントの検収の際にハネられ、「作り直し」という最悪の事態を迎えることになる。若いメンバーたちの過信をいさめることができなかった責任がプロマネにあることは、今さら言うまでもないだろう。

やって当たり前、失敗したら厳しい査定が下される

プロマネの人材不足の原因も、元はと言えば、プロマネがさらされている厳しい環境にある。環境が悪いから、優れた人材がプロマネという職を避けるようになり、その結果、さらに失敗プロジェクトが増え、ますますプロマネのポジションが敬遠されるという“悪循環”に陥っているのだ。

「今のやり方では、若手のメンバーは『プロマネなんかになりたくない』と思うでしょうね。特に、プロマネが苦労している姿を見ている若手がそう考えるのは当然ですよ」

しかし、残念ながら、こうした状況をなんとか変えていこうという動きは、ほとんど見られないようだ。

「このままだと、どんどん人材不足になるでしょうね。実際、既に大手も中堅もプロマネの人材不足が深刻になっています。うまく回しても評価されないし、仕事のリスクは他のメンバーよりも高いのに給与やボーナスアップとなって自分の懐にも跳ね返らない。つまずいたら、上司から『お前が悪いんだ。もう少し早く報告してくれていれば、もっと早く対処できたのに』と怒鳴られる。実際は、報告していたのに耳を貸さなかっただけのことが多いんですけどね。やって当たり前、やれなかったら厳しい査定をされる。ボランティアじゃないんですから、こんな報われない仕事、誰もやりたがらいですよ」

プロマネの人材不足をこれ以上深刻化させないために、「IT業界全体で、報酬を含めてプロマネの処遇を見直す必要がある」というのが山崎氏の願いだ。

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