05/07/21更新

英語学習のウソ・ホント

オフショア開発の広がりが示すように、ITエンジニアにとって、英語でのコミュニケーションの必要性は高まっている。しかし、世の中にあふれかえる英語学習の教材の中には、その効果が疑問視されるものが相当ある。ただでさえ忙しいITエンジニアに、無駄な勉強に時間を割くヒマはない。そこで、IT業界に籍を置き、30歳をすぎてから苦労して英語をマスターした2人のMBAホルダーに、英語学習のウソ、誤解を白日の下にさらしてもらうとともに、真に効果的な英語学習法を教えてもらった

(取材・文 / 中村京介)

英語が使えるITエンジニアの市場価値は“ウナギ上り”

五十嵐徹夫氏(仮名・38歳)

現在、ITベンチャーで役員を務める。30代後半で欧州の有名大学のMBAを取得。35歳をすぎてから英語学習を始めた経験から、「英語が苦手な人の立場に立って、勉強方法のアドバイスをしたい」と話す

台頭著しいBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の中でも、IT分野に限って見ると、インドの存在感は別格だ。多くの欧米企業(特に英語圏)が、インドのIT企業を重要なパートナーと位置付け、実際に大量の仕事をインドIT企業に発注している。その理由は2つある。1つは、国を挙げてIT教育に取り組んだ結果と言えるITスキルの高さ、そしてもう1つ見逃せない理由が英語力だ。

「インドでは英語が第2公用語になっているので、ほとんどのインド人は、ほぼ英語のネイティブ・スピーカーと言って差し支えない。つまり、仕事を発注する欧米企業から見ると、ITスキルが高くて、かつ英語でのコミュニケーションが可能なインド人は、単に人件費が安いということ以上に、非常に便利だということです」と、MBAホルダーであり、現在ITベンチャーの役員を務める五十嵐徹夫氏(仮名・38歳)は解説する。

インドの例を見るまでもなく、国境を問わないITの性質上、世界共通語である英語を使えるかどうかはITエンジニアにとって大きな問題であり、今後、英語が使えるITエンジニアの価値は飛躍的に高まっていくことが想定される。

間違った英語学習方法に振り回されないように

篠崎亮氏(仮名・34歳)

友人と設立したITベンチャーでは社内システムを担当。現在は大手ITベンチャーの事業企画部シニアマネジャーを務める。かつて国内メーカーで子会社事業の再生を担当した経験、さらに米国へのMBA留学経験から、ITのみならずマネジメント知識も豊富という貴重な人材

現実問題、帰国子女でもない限り、日本人にとって英語を使いこなすことは容易なことではない。新聞、テレビ広告、書籍、Webなど多くの人が、英語の必要性を感じながらもなかなかうまく使いこなせないことを裏付けるかのように、日本中のいたるところに英語学習の教材、情報があふれている。しかし、「残念ながら、これらの中には、学習効果が疑問視されるものがたくさんある」と五十嵐氏は指摘する。

五十嵐氏は35歳をすぎてからMBA留学の目的で英語学習を始めた。年齢のハンデを補うため、あらゆる学習方法を研究したという。苦労した分、「英語ができない人の立場で学習方法をアドバイスすることができる」と話す。

「英語学習で一番重要なのは、学習方法の選択。これには2つの意味があります。1つは、優れた教材を使うこと、もう1つは、自分のレベルに合った教材を使うこと、です。でも、現実には、誤った情報や誇大広告に振り回され、多くの人が間違った英語学習をしているように見受けられます」(五十嵐氏)

以下、英語学習にまつわる3つの“常識”について、2人のMBAホルダーが疑問を投げ掛け、それに回答する。

ただ英語を流していれば自然に聞き取れるようになるのか?

帰国子女でない多くの日本人にとって、「最も高い壁はリスニング」(五十嵐氏)だ。同じくMBAホルダーの篠崎亮氏(仮名・34歳)は、留学前、TOEFLで260点(TOEIC換算で900点以上)を超えるスコアを持つ実力者。それでも、「MBAの授業が始まって3カ月間は教授の話がほとんど理解できなかった」という苦い経験を持つ。

篠崎氏のケースからも分かるように、特にネイティブの英語を正確に理解するのは非常に難しいことだ。だからと言って、忙しいビジネスマンが、仕事で疲れきった後、リスニング練習のために理解できない英語を長時間集中して聞き続けるのはかなりの苦痛。そこでよく言われるのが、例えば英語のテープやニュースなどを“流しっぱなし”にしておくという学習手法だ。

こうすることで、「特に英語を聞こうと努力しなくても、自然に耳が英語に慣れて、いつの間にか英語が聞けるようになる」といった宣伝文句がよく見受けられる。しかし、篠崎氏は、「これは限りなく嘘に近い」と言う。

「少なくとも、英語初心者が意味の分からない英語をただ聞き続けてもほとんど意味はありません。帰国子女でない子供に毎日英語のテレビ番組を数時間見せたからといって、半年、あるいは1年後に英語が話せるようになるでしょうか??確かに、ネイティブ・スピーカーは、幼少期の頃から何度も何度も英語を繰り返し聞くことによって、徐々に聞く力、話す力を習得しますが、これには膨大な時間がかかります。日本で生活し、これと同じ環境は望めません」(篠崎氏)

従って、普通の日本人が英語力を得るためには、「『意味』と『音』を意識的に結びつける必要がある」と篠崎氏は強調する。

「個々の単語、一連の文章の意味を理解した上で、それがどのように発音されているのか、集中して何度も聞くことが必要です。ポイントは『集中して聞く』ということですね。意味をとらえられるように、集中して聞かなければイミがない。意味と音が結びついて、初めて英語を言語として認識できるのであって、意味が分からず、ただ英語を流していても、それは単に『音』を聞いているのと同じです」(同)

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