05/12/15更新

前回、「記憶の複合がユニークな企画を生む」と語ったおちまさと氏だが、これは、「記憶」が企画立案の重要なファクターであることを意味する。3、4年間にわたって作られた記憶が、突然つながって企画になることもあるという。人間にとって「忘却」が不可避である中、過去の記憶を数多く保ち続けていること自体が、そもそも驚きだ。そこには“おち流”の情報管理術があった……。

メモ書きはカッコ悪いので
脳をパソコン代わりに使う

せっかく「思いついたのに忘れてしまったような企画は、それが大した企画じゃなかったからでしょ?」とワケ知り顔でいう人がいるけど、あれは完全に間違っているよね。突然思い出して、「おっ! この企画は超面白いじゃん!!」ってことがよくありますから。人間、面白いものでも忘れちゃうんだから、忘れないようにするために何かやるのはいいことだよね。というか、忘れても困らないような方法を実行しておくべきだと思うね。

僕は脳をパソコン代わりに使っています。頭の中にフォルダを作って、それぞれフォルダごとに名前を付けて明確化している。言ってみれば“脳内フォルダ”が頭の中にいっぱいあるんです。昔は何かを思いつく度にメモっていたんだけど、レストランとかで何か思いついてメモっている絵がカッコ悪いなと思ってやめました(笑)。

よくやるのは、特定のキーワードを人に覚えておいてもらうというやり方。例えばA君には「山」、B君には「座布団」、C君には「缶コーヒー」と覚えておいてもらう。人って、自ら覚えようとするとすぐ忘れるけど、他人から「覚えておいて」と言われると、“強迫観念”が働くから、結構忘れないものです。

一見意味のない言葉だけど、何かを思い出すきっかけになる。「山と言えばあのことだったな……」というふうに、あらかじめキーワードと、思い出すべきことをリンクさせておく。必要なくなったら「今日で忘れていいから」と彼らに伝える。ちょうどフォルダを消去するような感じでね。

企画とは「思いつく」でなく
「思い出す」プロセス

パソコンは人間が作ったものだけあって、人間の脳に凄く似ている。脳内フォルダを引っ張り出して、2つのフォルダを1つにまとめる作業は、パソコンそのもの。そう考えると、結局、企画は、「思いつく」ものじゃなくて「思い出す」ものなんだよね。頭に入れておいたものを引っ張り出す作業ですよ。

だから、頭に入れておいたものはいつでも取り出せるようにしておかなきゃいけない。パソコンで言えば“スタンバイ状態”です。キーに軽く触れただけで、パソコンがすぐさま立ち上がる。炊飯ジャーにたとえてもいい。炊飯ジャーって、保温状態でずっと作動しているでしょ。どっちにしても、たとえ寝ていても情報は完備している状態じゃないと、良い企画なんて出てきません。

『仕立屋工場』という番組も、そういう情報管理術の中から生まれた企画です。とにかく僕は洋服が好きで、洋服をテーマとする番組を作りたかった。テレビの世界では、それまで洋服の番組は当たったことがないという定説があった。それを覆すためにもやりたかった。当てたかった。

そこで、インディーズの洋服ブランドを作り、「タレントに選んでもらった方が勝ち!」という企画を考えたんです。「これは絶対に当たる」とポジティブ・プランニングした後、ネガティブ・シミュレーションしてみたら、超つまんない企画だったわけですよ。

2着の服ができて、それぞれをタレントに着てもらい、「こっちが気に入ったわ」と選んでも、だからナンなんだって……。「何が面白いの? この企画」と思い始めた。そういう時、脳内フォルダでの情報管理が生きる。

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